古紙回収・廃品回収、古新聞はおまかせの春日井宮崎です。

新聞記事

ペットボトルの“新品”再生

——衛生管理や外観課題に(創造循環型ビジネス) ——
掲載日:2001/04/12 媒体:日経産業新聞

 使用済みペットボトルを新品のペットボトルに再生する技術の実用化が現実味を帯びてきた。廃ボトルは細かく破砕してシャツや文具などの原料にしか使い道がなく、自治体によっては回収したボトルが滞留する事態も起きている。再資源化が実現すれば、資源循環が大きく前進する。

 「これが廃ボトルから作ったペットボトルの試作品。外観も強度も新品のボトルと変わらない」。日本ポリエステルリサイクル(PES-R、東京・港)の椋田高義副社長は新品同様の五百ミリリットル入り再生ボトルを手にこう語る。

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 PES-Rは日本車両製造と環境ベンチャーのアイエス(大阪市、稲田修司社長)が折半出資するリサイクル事業会社。アイエスがペットの再生技術を開発し、日本車両が独自の分子蒸留装置を生かしてプラントの製造を手掛けている。

 アイエスの新技術は、廃ボトルをポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の原料になるモノマー(BHET)やエチレングリコールにいったん化学分解・精製して、高純度のPET樹脂に合成し直す。リサイクルの障害となっていた不純物が除去され、新品並みの品質になるという。色付きボトルにも対応できる。

 二〇〇〇年七月に日本車両の大利根製作所(茨城県総和町)の敷地内に年百五十トンの実証機が稼働した。容器メーカーの協力を得て、廃ボトルから取り出したPET樹脂で新品同様のボトルを作り出した。

 二〇〇二年十月にはリサイクル施設を愛知県半田市にある日本車両の衣浦製作所で稼働させる計画だ。投資額は六十億—七十億円。主に東海地方で発生する廃ボトルを年二万七千トン受け入れ、二万二千トンのPET樹脂を作る予定。

 PES-Rの社長はこれまでアイエスの稲田社長が兼任していたが、今年四月に日本車両の加藤紀生取締役が就任した。

 日本車両は出資比率も株式譲渡を受けて五%から五〇%に引き上げた。成熟化する鉄道車両事業を補う新事業に育てようと、日本車両が本腰を入れ始めたといえる。

 産業界ではPES-R以外に、帝人が廃ペットボトルなどから化学分解によって不純物を取り除き、高純度のポリエステル原料を回収する技術を開発している。二〇〇二年に徳山事業所(山口県徳山市)内に年三万トンの再資源化施設を新設してリサイクル事業を開始。主に廃ボトルを受け入れて、再生したポリエステル原料は主に自家消費する。PES-Rの狙うような「ボトル・ツー・ボトル」も可能という。
 ただし、再生PET樹脂を量産できても、再生ボトルに加工して飲料や食品用に使うことは、現時点では食品衛生法に抵触する。仮に厚生労働省から認可を得ても、飲料メーカーなどが採用に踏み切るかどうかは未知数だ。再生ボトル普及には外観や衛生管理などの厳しい条件をクリアしなければならない。

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 実用化段階では既存技術のリサイクル業者との間であつれきが生じる恐れもあるが、「既存技術と共存してリサイクル市場を拡大する」と椋田副社長は説明する。

 ペットボトルは二〇〇〇年に三十六万二千トン生産され、収集されたのは十一万五千トン。再資源化率三一%はガラス瓶やアルミ缶の半分以下だ。「ボトル・ツー・ボトル」が最も理想的なリサイクルの手法であるのは間違いない。課題を一つ一つ解決することで、夢の技術の実用化が近づく。(堀直樹)